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二胡はどんなところが難しいのか?徹底解説

  • 執筆者の写真: カオン
    カオン
  • 6月22日
  • 読了時間: 6分


二胡を始めようか迷っている方や、既に練習中の方の中には「二胡ってどれくらい難しいんだろう?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。中国の伝統楽器である二胡は、その独特な奏法と表現力から「習得が難しい」と言われることもあります。この記事では、二胡の難易度を他の楽器と比較しながら、具体的な難しさのポイントや克服方法まで詳しく解説していきます。


二胡の基本的な特徴と構造


二胡は中国を代表する擦弦楽器で、2本の弦と弓を使って演奏します。その歴史は古く、11世紀頃に現在の形になったと言われています。バイオリンなどの西洋楽器と比べると、以下のような特徴があります:


  1. 弦が2本のみ(バイオリンは4本)

  2. フレット(指板)がない

  3. 弓が弦の間に固定されている

  4. チューニングが内弦D、外弦A

  5. 主に数字譜(簡譜)を使用


これらの特徴が、二胡の独特な演奏スタイルと難しさを生み出しています。


二胡が難しいと言われる5つの理由


1. 音程のコントロールが極めて難しい


二胡にはフレットがないため、音程は奏者の感覚と耳で判断する必要があります。これは初心者にとって最大の壁の一つで、「最初の数ヶ月は音程が安定せず、猫の鳴き声のようになってしまう」という経験談もよく聞かれます。


特に、高音域になるにつれ指の間隔が狭くなり、微妙な操作が必要です。二胡の音程の習得は一筋縄では行かないもので日々の練習が欠かせません


2. 弓のコントロールに高度な技術が必要


二胡の弓は弦に弓の毛を当て続け、引きずるようにしなければ安定した発音を維持できません、また弓の動かし方が弓の圧力や速度、角度の微妙な変化で音色が大きく変わるため、美しい音を出すには繊細なコントロールが必要です。


また、弓を水平に動かす「運弓」技術は二胡の基本中の基本ですが、これが思った以上に難しく、初心者は弓がふらついたり、不自然な角度になったりしがちです。


3. 左手のテクニックが複雑


二胡の左手技術には、ビブラート、スライド、装飾音など、様々な表現技法があります。中でもビブラートは花形の技術ですが、特に習得が難しく指の動きと圧力の変化で微妙な音程の揺れを作り出さなければなりません。


また、多彩な左手の技法、例えば、滑音(ポルタメント)や打音(装飾音のひとつ)颤指(トリル)

など中国のメロディーに特有の装飾技法が豊富にあり全てを習得するのは難しいとされます


4. リズム感と音楽表現が求められる


二胡の音楽、特に伝統曲には西洋音楽のような明確な拍子感がないもの(散板といわれるもの)が多く、自由なリズムと表現が求められます。自由といえどテキトーではなく、音楽の文脈に沿った奏者の腕の見せどころでもあります


5. はじめたての音の出しにくさ


二胡は初心者が最初に音を出すのが難しい楽器としても知られています。正しい姿勢と弓の持ち方をマスターしないと、きしむような音しか出せない、もしくは非常に緊張することに繋がります、脱力しながら弾くためには二胡に対する正しい身の預け方を学ぶ必要があります。


二胡の難しさを克服するための練習方法


二胡の難しさを理解した上で、効果的な練習方法をいくつか紹介します:


1. 基礎練習を徹底する


長弓(ロングトーン)練習:弓をゆっくり均質に長く音を保つ練習。毎日10-15分行うことで、基本的な音作りが上達します。身体を二胡に適切に預けるための最も効果的な練習です。メトロノームを使い二拍や四拍で全弓を使い切る練習なども良いですね


音階練習:メトロノームを使い、正確な音程とリズムを意識して行います。

スケール練習:様々な音階パターンで指の動きを鍛えます。特に中国のメロディに多く用いられる五声音階などのフレーズを練習しましょう。


2. 難しい部分を細分化して練習


曲の中で弾けない部分がある場合、以下の手順で克服します:


1. 問題の箇所を特定する

2. なぜ弾けないのか原因を分析(指の動き?弓のコントロール?リズム?)

3. テンポを落としてゆっくり練習

4. 小さなセクションに分けて反復練習

5. 徐々にテンポを上げていく


3. 正しい姿勢と脱力を心がける


二胡演奏では力みが最大の敵です。以下のポイントを意識しましょう:


「松(song)」:リラックスした状態で、必要最小限の力で弦を押さえる

「通(tong)」:身体を一本の軸で動かし、左右のバランスを保つ。弓の動きを滑らかで途切れないようにするように身体を運ぶ

「省(sheng)」:必要以上に無駄な力を入れないようにして状態の維持が最低限のコストでできるように身体の配置を探す


4. 録音して客観的に聴く


自分の演奏を録音し、客観的に聴くことで、気づかなかった問題点が見つかることがあります。音程のズレやリズムの乱れなど、改善点を明確にしましょう。


5. 良い手本を聴く


プロの演奏をよく聴き、理想の音色と表現を頭に焼き付けることも大切です。最近ではYouTubeなどで多くの二胡演奏を聴くことができます。


二胡の魅力と習得の喜び


ここまで二胡の難しさを強調してきましたが、それだけに習得した時の喜びも大きいのが二胡の魅力です。二胡が持つ独特の情感豊かな音色は、他の楽器では表現できない深みがあります。


特に、以下のような点が二胡の大きな魅力と言えるでしょう:


  1. 人間の声に近い表現力:呼吸を感じさせ、泣くような音色から力強い表現まで、幅広い感情を表現可能

  2. 中国文化の深み:千年以上の歴史を持つ中国音楽の伝統を体感できる

  3. シンプルながら奥深い:2本の弦というシンプルな構造ながら、驚くほど多彩な音楽が演奏可能

  4. 近年の進化:伝統音楽だけでなく、ポップスやクラシックなど様々なジャンルに応用可能


二胡を始める人へのアドバイス


二胡を始めようと考えている方へ、いくつかのアドバイスを送ります:


1. 最初は先生につく:独学も可能ですが、正しい基礎を身につけるためには最初からプロの指導を受けるのが理想的です。

2.焦らない:二胡は習得に時間がかかる楽器です。小さな進歩を喜びながら、長期的な視点で練習しましょう。

3.毎日少しずつ練習:1日10分でも毎日続けることが、技術の定着につながります。

4. 楽しむことを忘れない:難しい部分ばかりに目を向けず、音楽を楽しむ気持ちを大切に。


まとめ:二胡の難易度とその価値


二胡は確かに習得が難しい楽器です。特に、音程の正確さと弓のコントロールには長期間の練習が必要です。しかし、その難しさこそが二胡の価値でもあります。一つ一つの技術を習得していく過程で、音楽的な感覚と表現力が磨かれていくからです。


二胡の習得には時間と忍耐が必要です。しかし、その努力は必ず報われます。二胡の持つ情感豊かな音色を自分の手で奏でられるようになった時の喜びは、何物にも代えがたいものがあるでしょう。


もしあなたが二胡に興味を持っているなら、その難しさを恐れず、ぜひ挑戦してみてください。最初は思うように音が出なくても、続けていくうちに必ず上達します。そして、二胡が持つ独特の世界観を楽しめるようになるはずです。


二胡の道は長いですが、その旅そのものが貴重な音楽体験となるでしょう。一音一音を大切に、焦らず楽しみながら練習を続けてみてはいかがでしょうか。

 
 
 

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